陽が延びてきた。昼席が跳ね薄暗い夕刻にオーバーコートの襟を立て、
すばやく帰り支度の落語見物も、もうちょっとだけ余韻を楽しみたい。
その候補の第一は何と言っても商店街めぐり。
では、第二位は・・

  天気のよい日の大阪名物「夕焼け見物」が素晴しい。

「そんなん、繁昌亭の近所で見れるんかいな?」
「はい見れます、ご覧のとおり!」
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(春の深まりとともに夕陽は川の上に上にと移動する。
ちかごろは、様々な観光船が行ったり来たりしてくれて水都の風景が楽しい。)

繁昌亭をあとにして、天神さんにお参りし
表門をストーンとまっすぐ5分も歩けば大川(旧淀川)のあちら側に土佐堀川、
こちら側には堂島川の河っぷち、天神橋の袂。桜が咲く頃は染井吉野が美しく、
対岸に新設された「八軒家の港」では観光船も行き交う。この川辺を上流に向かって歩く、
緑色の天満橋(さっきは「てんじんばし」、今度は「てんまばし」)の下をくぐって、もうチョット。
天神さんの表門から20分もしないうちに、この川崎橋に行き当たる。
  大川が大きく蛇行するこの辺りは、大阪都心には珍しく180度のパノラマが利く。
橋の上からは大阪城が見え、北には安藤忠雄氏の設計による新・銀橋。
もとの銀橋と仲むつまじいシルエットは、すでに「新名所」の景観的ニオイ。
上空では伊丹めざして夕刻のラッシュ時、飛行機が朱色の環状線並みに次々と飛来する。
  ここ、川崎橋にたたずむと「ゴミゴミした大阪」ではなく、「伸びやかな大阪」が満喫でき、
まるで物語があふれ出てくるようだ。そしていよいよ夕焼けの時刻。               
  つい最近までの表情が一変し、
ココから眺める西方にもニョキニョキ、ニョキニョキ、「そんな、突き抜けんでもエェがな」と、
思わず叫んでみたくなるような超高層マンションが、あっちにも、こっちにも遠望できる。
  この水辺に感じる風情や庶民生活は、繁昌亭で聞く噺にも、あれやこれやと描かれている。
「超高層マンションか、上方落語か」けったいな比較ではあるが「いったいどっちが長持ち?」と、
いつもシッカリと魅せてくれる夕陽は、落語のサゲで都心の世相を表現しているかに、見える。
  ついさっき聞かせてもらった噺の余韻に浸りながら見る夕焼け、こんな贅沢は、誰にも教えたくないなぁ〜。